鉄塔ハイキング17 電気を流したり流さなかったり 岩瀬開閉所から戸塚変電所

鉄塔ハイキング17 

電気を流したり流さなかったり 

岩瀬開閉所から戸塚変電所

2012年1月に歩いた記録を、2020年8月、一部改編して再掲。

はじめての開閉所

このところ横浜北部が多かったので、南部へ行こう。
JR新ー大線は大船で終わっていたけど、その先にまだありそうだったからそれ行くか、と地図を見ていたら、大船駅付近に開閉所の文字があった。岩瀬開閉所。
開閉所は電気の中継点であることは変電所と同じだが、変電はしないのだそうだ。
つまり、電気を流す流さないを決める大きなスイッチということか。

横須賀辺りの発電所からの電気を変電所の前で開閉するところなのだろうかと想像した。
戸塚から行ったとしてどれが岩瀬に向かうのかはっきりしないし、適当にたどったあげく間違えて違うところに着いたらたいへんだと思って大船へ先に行き、岩瀬開閉所を出発点とした。
そこでわかったことは、1番鉄塔から晴れ晴れと戸塚へ向かうと思ったら全く逆だったということと、岩瀬に向かうことはプレートにはっきり書いてあったから戸塚から歩き始めても全く問題なかったこと、であった。

名前が戸岩線なのだ。どこへ向かうかが堂々と書いてあったのだ。
 
 
  


その1 開閉所を出発して、戸岩線23から17


大船駅笠間口からスタート。
大船は不思議な雰囲気がする。山の上に白い大きな方がいるせいか。笠間口からは見えないが。


広い工場を過ぎて10分ほどで開閉所に到着。
鉄塔が集まっていたのでまず南から来るほうを見てみた。この時はまだ、横須賀から「来ている」と思っていた。しかし、鎌倉線2と鎌倉北線2だった。
つまり開閉所から鎌倉に向かって流れていたのであった。あらま。ということは「戸塚から」来てるんだ。とここで初めて分かったのだった。


これは開閉所内の鎌倉線1。手前は近くの建設会社の寮らしく、洗濯物がひらひらしていたので立ち入るのはやめといた。

細い道が入り組んだ中を入っていくと近づけた。

手前の建物のストライプがいい。トタンではなく、プラだった。
変電所のあの「ヴーン」音がしない。とても静かだ。変電してないからだと思う。
スーパーコンピュータみたいな四角くて大きな金属の機械も少ない。電線と碍子ばかり。変電してないからだよね。たぶん。

どんよりした天気に枯れたススキ。無音の開閉所。

開閉所という表示を探して一周してみたが、大きな物流センターの中にあるようで、施設名にはその会社の文字しか見当たらなかった。ここは製品というより原料を運んでくるところらしくドラム缶が積まれていた。

大船は大きな工場がたくさんあり、鉄塔が近くに見えていてもたいへんな大回りをしなければ近づけず、それもまたおもしろかった。地図は持っていないし、iPhoneをやめたので電子地図もみることはできない。
楽しい迷子。

住宅街を抜けていると、全く普通のお家がケーキ屋さんになっていた。玄関先に店の幟があり、ケーキの自動販売機があった。裏には専用駐車場もあるらしいが、普通のお家である。公文の教室みたいなケーキ屋さん。ケーキ作りが好きで好きでたまらないのだろうな。

開閉所から戸塚方面への鉄塔には近づくことができず、確認したのみ。
次はあれ。間には大きな施設があり、遠回りする。

ここは鎌倉市。源氏が注意してくる。

この写真を撮っていると、フミャーとか細い鳴き声がした。
よく探すと、保護色のように、丸い猫がいた。近づいてくることはないがこちらが少し近づいても逃げない。その場所がよほど好きなようだった。保護色だから落ち着くのかい。

細い路地を入って建設中のマンションの裏に実質のスタートとなる鉄塔がいた。
戸岩線23。
戸岩線は以前南横浜火力線を追いかけたとき戸塚変電所の近くで見ていたのだった。そのときは「岩」ってどこだろう、と思っていた。ここだったのか。

路地を抜けると大きな通りにでた。もうここは横浜市だった。鎌倉市、短かった。

交差点には歩道橋があった。歩道橋は鉄塔観察の友である。
変電施設の中が見える〜。

そして、次の戸岩線22。ちょっと離れた変電所に下りてくる型。
手前の電線がすごい。集中線みたいだ。

真横から見てもおもしろい。

知らぬ間に東京の新橋に来てた、とボケようにも「にいばし」と読むのでそれは無理。

分岐点を探してみた。

バス通りから細い道を入り、住宅地を上っていく。
京浜東北線は大船に近づくと低いところを走り、トンネルをいくつか抜けたので坂は覚悟していたが、それほどでもなかった。線路は昔の川のあとに敷かれているのだろうか。駅も深い溝の中にある。人々は台地の上に住んでいて、いちばん下まで下りて来ないのではないか。ならば戸塚付近のほうがきついんだなと、ここで覚悟した。
地名に富士がつくということは見晴らしがいいということで、坂があるということだ。
こういう住居表示にどんなふうに鉄塔が書かれているかも気になる。

下のほう、階段近くの、色を付ける前のストライクの記号みたいなのが、鉄塔。
実物。戸岩線21。

脚元に公園が広がっているのだが、散歩中の子犬を抱きしめて、ベンチに座りこんで眠っている人がいたので入るのは遠慮した。何があったんだろう。

建物はないが、畑でもない、だだっ広い土地の中に戸岩線20。

この鉄塔の特徴はなんといっても、このはみだす脚。

さっきの変電所のまわりにも、柵に囲まれた更地があった。
ここはもっと広い。高速道路の建設予定地とのことだ。早く横浜から中央道に乗りやすくしておくれ〜。

タクシー会社の駐車場の中に戸岩線19。タクシーがみっしり停まっている。どうやって停めたんだろう。リバースで入ってきて隣の車ギリギリまで近づいたのかな。プロだ。鉄塔はといえばコンクリートのないところにススキがみっしり生えて、全部枯れていた。

ここらへんは住宅の気配がなく、高速道路用地、大きな駐車場、倉庫、工場、何本もの線路、である。
線路越えはどうしたものか。
黒と黄色を目印に来てみたが、封鎖されていた。

きびすを返し、くぐれそうなところへ。

でも、まだ遠かった。

長い跨線橋を渡ってやっと近づいた。
川には黒い鳥(おそらく鵜)と白い鳥(白鷺)がいて、白い鳥軍団が動くと黒い鳥軍団がそれを追い、黒軍団が方向を変えると白軍団がまたそれを追うということを繰り返していた。

川べりは鉄塔ハイキングおなじみの生産緑地つまり畑。この柑橘類がすごい。完熟で収穫しているのだろうか。ぼとぼとと落ちている。近づいてみたが、ここでしゃがんだりしちゃいけないと緊張した。李下に冠を正さずってこれか。

送電線は直線で結ばれ、人はくねくねと遠回りをする。戸岩線18。

次は川の向こう。かなり遠い。送電線も長い。

川を渡っても工場が広がっていて、さらに回り込んでいく。
工場の中に、戸岩線17。直下に下りてくる型。お気に入りの型。下りてくるとこ、よく見えるよ。

分岐点を探せ。

鉄骨の番号まで見えた。複雑に入り組む鉄骨。見飽きない。電気やこの鉄骨の組方を考えだしたのは人間の頭脳だ。自然の景観もいいけど、人間はもっと自分らの頭脳とそれによって造り出したものに誇りをもっていい。好きになっていい。

工場の向かいはここも更地になっていた。
さきいか(ソフトタイプ)をぶちまけたような枯れ草が広がっていた。

その2 16から9

次も工場の中。
戸岩線16。
送電線の上のぽちぽちは送電の設備ではなく、等間隔に並んだ鳥たち。
なぜかこの鉄塔だけ、鳥たちでにぎわっていた。

次も工場の中。戸岩線15。
分岐している。

分岐先はこれ。JR大船線1。哀愁を帯びてたたずんでいた。

工場の金網越しに分岐点を探そう。分岐点マニアじゃないが、気になって。

これを撮った金網のそばには、猫の餌やり場があった。お客さんはいなかった。

次も下りてくる型。しかも、3回線分の高さから下りてくる!好きなんですよ、このタイプ。戸岩線14。
大きな期待。でも金網越し。

これがいちばん上。
ここから、

いちばん下まで一気におりてくる。

中ほどから、鉄塔から言って手前の留置型(平べったい鉄塔)鉄塔をひとつ飛び越えて奥の留置型へ下りてきているのもかっこよい。
脚元には大きな糸巻きのようなものが、ごろごろと放置。

次の戸岩線13も工場の敷地内。脚元が見えないと思ったら、生け垣がそこだけ切れてチラ見え。

戸岩線12も敷地内。でも鉄塔のところだけ生け垣なし。丸見え。

ほこうけむりって何だ。

工場地帯は終わり、ひと気のあるところへ出た。

脚元がちょっと変わっていて、鉄塔に囲まれた部分が盛り上がり、鉄塔の脚はその盛り上がりがはみ出ないように押しとどめている役目をしているかのようだった。
徳俵みたいだなと思った。

そしたら、鉄塔の脚元は土俵みたいだった。

そんなことを知ってか知らずかそびえ立つ戸岩線11。どすこい。

ひと気があってうれしいので、バス停と一緒に戸岩線10。
この鉄塔はエンピツに似ている。上から下まであまり太さが変わらない。しゅっとしてるの反対のような感じ。

近くで見るとそんなに曲げている感じはしなかったが、手があまりに冷たくなったのでコンビニで暖かいものを買って駐車場で一息ついているときに見てみると、かくんと曲がっていた。

晴れてきた。戸岩線9。
脚元は土俵。

雲の流れが速い。また天気は変わるだろう。

その3 8から3

交差点に戸岩線8。これから進んでいく方向である、鉄塔左手の道を見ると坂になってる。とうとう戸塚が近くなってきた。
脚元は普通だな。

通りすがりに何気なく振り返るとそこには、後頭部を撃ち抜かれた狸が結界を見つめていた。

坂を上ろう。

南戸塚ヒルズという住宅地だそうで、ヒル(丘)の中腹が全部家だった。道は坂の傾斜に対し斜めに走る。くねくねと上がっていく。
バス停のベンチが長かった。継ぎ目はひとつだった。

まだ坂は続く。

極めつけは階段。
送電線が30度くらいで駆け上がってきている。

ハアハア。着きました。
戸岩線7。

水仙の花が斜面いっぱいに咲いていて、いい香りだった。

次行こ。

と歩き出すと、住宅地の中の普通の家の喫茶店があった。
こういうお店って意外と多いのかもしれない。クラブハウスサンドやコーヒーなどの中に、釜飯というメニューもあった。

嫌がらせのように坂は続く。

四方を家に囲まれた戸岩線6。
ここで右回りか左回りか決めなくてはならない。
左回りを選んだ。

普通の道だったのに、いきなり終わって崖だった。すぱっと終わってる。

右回り決定。
急坂を下りていく。
味のあるアパートの向こうに次が見えた。

この戸岩線5はマンションの中庭にあるようで、脚元まで行けなかった。マンションの反対側は崖になっていて、思い切り見上げないと鉄塔が見えない。

少し離れたところから。撮るとき右肩が上がってしまったのではない。鉄塔や電柱などはほぼ垂直に撮れている。(厳密に見ないでね。)
それくらいきびしい坂なのだ。

次の戸岩線4も家やマンションの向こうに。

隣に見えているのは南横浜火力線。ここは以前のハイキングで来たことがある。

この戸岩線と南横浜火力線は国道1号を越える。前回は国道に向かって右に下りていき、トンネルで越えたが、同じ道は通りたくない。戸岩線は左側にいるのだから、左をまわろう。
箱根駅伝にでてくる戸塚警察署付近2区最後の上りとはここである。
道路の向こうに次が見える。左のが戸岩線。

振り返れば戸岩線4が。

国道を渡り、恐ろしい角度の坂を下り、めざす鉄塔を見る。

ここで右を回ると前回と同じコース。
じゃ、左で。
と、間もなく庚申塚。戸塚にはよく残っている。

坂を上り切ると、鉄塔を大きく過ぎてしまった。日立の寮の広い跡地があったので、大回りしたからだ。高校1個分くらいある広い敷地だった。建物はすでになかった。
鉄塔に近づくのだがいきなり道が終わって崖、みたいなことを何回か繰り返すうち、マンションの横に階段を見つけ、それを下ると細い道があり、戸岩線3の脚元に着いた。
脚が1本だけ高いところにある、いわゆるマドロス型(勝手に命名)。

黄色いのぼりは健在だった。

その4 戸塚変電所へゴール

以前来たとき八百屋さんがいた公園を突っ切って、次へ。今日はサッカーの子供たち。
天気のいいうちに終えたい。
戸岩線2。逆順に来た時は最後の1より2のほうがなぜだか感慨が深い。

そしていよいよ、戸岩線1、といいたいところだが、以前来た時の記憶から近づけないことはわかっていた。坂の上、家の奥。ここまでが限界。プレートは見えなかった。

右に回っていったん国道1号にでる。すぐ戸塚変電所がある。
そして反対側に来た。戸岩線1。
縦に並ぶ送電線が横に並び直すため、広がって下りてくる。

そして変電所へ。正確には変電所から、だけど。
戸岩線の始まりはここ。今回は終わりから来た。

ここにも水仙が咲いていた。

戸岩線の始まりの留置型鉄塔に近づいてみた。

変電所内にはこんなに大きな水タンクがあるのだ。

戸岩線制覇。
次はどこにしよ。

おまけのマカロン

戸塚駅付近でみつけた、かえるのマカロン。もちろん買って帰った。

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