その2 1番から21番
寺尾線が栄町変電所で終わることを先に確認したので、次は当然始めからだ。
鶴見駅からバスで旭変電所へ。
とてもいい天気である。
ここは1番鉄塔が5種類もある、楽しみなところ。
本日のお客様はいちばん右の寺尾線1。
訪ねていってるのはわたしだから、お客様はこっちか。
このように、留置線から
縦に並び直すのが好きだ。
プレートの名前は寺尾線だが、上の2回線が寺尾線で、下の2回線は北の台線という。
変電所内に小さく表示されていた。
寺尾線2は下の2つがぴょこっと飛び出している。
近くの電柱に送電線注意の赤い文字が貼ってある。
太陽ぎらっ。碍子ぴょこっ。
次の寺尾線3も同じぴょこ型だった。いちばん左。2とおなじ型で飛び出している。
脚元はバスの操車場で、使われなくなったバス停が端のほうにまとめられていた。
貯水池、なくなっちゃったんだろうか。
次に行く途中、気になるものが。ものって、それは鉄塔だが。
いかにも古そうな、鉄骨の感じ、組み方。
そんな気がするんですが…。
近づいてみれば、昭和29年のJR新鶴見ー大船線だった。古い。当たり。
ちょっとはわかるようになったんだ。うれしい。
それにしても、川崎から大船までJR鉄塔を追跡したことがあるが、そのとき新鶴見ー大船線は全く見なかった。行き先は同じだし、鶴見と川崎は近いのに、経路は全く違うようだ。
大船…か…。行ってみるかな、また。
寺尾線4は工場や倉庫に囲まれていた。鉄塔がわらわらといて、いい眺めだったので、たくさん写真を撮った。寺尾線4は赤白。
空中に碁盤の目が出現。
複数の鉄塔がつくりだした碁盤の目。
この後間違えて別の線についていこうとしてしまい、迷ったあげくに着いた寺尾線5。
鉄塔はコンクリートの台の上にいた。台の横には物置があり、そのすき間に猫がいてこっちを見てた。
突然池があった。駒岡池。立ち入り禁止、釣り禁止と書いてあったが、立ち入って釣りしているひとがいた。釣りではなく、手に持った糸を水に浸けてじっとしている修行だったのかもしれないが。
鉄塔は寺尾線ではない。桜がきれいだった。
次は丘の上にある。突然坂がでてくるのだ。
上る前に、さっきの寺尾線5がちいさな工場(こうば、と読む)の後ろに見えた。
いきなり急坂だ。
上り切ったら寺尾線6。
桜がきれい。春だねえ。
上ったらすぐ下るのは横浜のお約束。
とはいえ、この”丘”はほんとうに小さかった。でっぱり、くらいの大きさ。
坂の途中に寺尾線7。花と一緒に。
坂を下り切ったところにあったカーブミラーに映っていた寺尾線7。実はよく見ると撮影者も映っていた。
わりと普通の住宅地に鉄塔が混ざっていると、鉄塔がコンクリートを割って生えてきたたけのこみたいに見える。寺尾線8。
住宅地奥へのびていく寺尾線8の影。
街角の長方形グループ。
住宅地の中の鉄塔は続く。
屋根との距離で近さがわかる。寺尾線9。
芝生、ハーブ寄せ植え、そして鉄塔。おフランスな感じの鉄塔だ。
次は老人ホームの敷地内にあり、こちら側からは遠く望むだけ。反対側に行けば近づけるかなと、反時計回りに坂を上っていく。
すると、次の次である寺尾線11を先に見てしまった。
こういう四角い形の鉄塔は、坂の上の尾根伝いに並んでいるような気がする。風に対する抵抗が大きいためではないか。ちがうか。
去年、あんなに悲しいことがあっても春は来るんだということを感じたくて花の写真を撮りにでかけたこともあった。それを思い出した。
目標の寺尾線10には近づくことはできず、すき間から見たり屋根の向こうに見たりした。
11はもう見たから、次は寺尾線12。
ちょっと曲げている。
近くのバス通りは渋滞していた。坂を下りたところにある公園で花見をしようとやって来た車たちだったのだろう。
渋滞待ちの車の間を抜けて道を渡って撮った寺尾線13。
去年は花が咲いてるだけでうるっときていた。
さてこの寺尾線13には柵がない。動物病院の看板がかわいい。
となれば、これだ。
この、四角いタイプには2とおりある。碍子が四角く組んだ鉄骨から飛び出ていないものと飛び出しているもの、である。
寺尾線13は飛び出ていないタイプ。結界のながめもすっきりしている。
そして、次の寺尾線14は飛び出ているタイプ。
目いっぱい飛び出ている。
どこからも入れないが駐車スペースつきである。
この鉄塔の隣も動物病院だった。新しい住宅が増えている地域であるが、増えるのは小児科ではなく動物病院なのかもしれない。
寺尾線15は新築のお家に囲まれていた。
次は坂の下。長めの送電線がつながっている。
右手に小さく、横浜火力発電所と総持寺がみえる。
ここもすぐに家が建つのだろう。
今はまだ土が残っていて、花が咲いていた。
蝶もいた。
またもやえらく急な坂を下りていく。
その坂を自転車の立ち漕ぎで上ろうとする女の子とすれ違ったので、振り返って見ていた。
かなりがんばって上っていった。お母さんは歩いていた。
下りて上って。次はまた坂の上だ。
プレートはあんなに上にある。
マンションがあって、その向こうに次がある。敷地内の細い道を入っていく。
寺尾線17。そのとなりに愛らしい鉄塔が!
北の台線が変電所におりていく。そのための愛らしい鉄塔。
うわー。見よ、この愛らしさ。
もっと近づいてみる。けなげな感じ。
愛らしい。
この先は崖になっているので、いったん戻ってさらに坂を下りていく。
ちょうどさっきの変電所の反対側にでて、今度は愛らし鉄塔を見上げることになった。
愛らしい。
変電所の向かいに何軒か店が並んでいたが、なかに営業はもうしていないがそれがまたいい風情をだしている建物があった。
寺尾線18は碍子がぴしりと並んだ端正な印象。
脚元には、猫。
さて来ましたよ。
寺尾線19かっこいい。
四角くてドラキュラ。際立った形。
ここでも北の台線が変電所へ下りていく。
扇のように広げたトランプを想起させる部分。
この、下りてくるところ、好きだ。
分岐点みっけ。
変電所施設と寺尾線19と18
もうこれくらいにして、次へ行こう。
寺尾線20。ここでも家を建てている。
かなり年季の入った鉄塔だ。
このときは鉄骨の錆を撮りたくてカメラを向けた。後日よく見てみると送電線が切れていることに気付いた。下の2回線には電気が流れていないのだ。
なぜ気付いたかは、このあとわかる。
そして、これで、その1の最初、川岸の寺尾線21となる。
花の向こうにみえてきた。
重ねてみた。
遊びにきているひとがスナック菓子などの餌を撒くためか、川岸にゆりかもめがたくさんいる。
鳥の顔はどれも同じではない。個性がある。
止っている時と飛んでいる時の表情は同じである。キリッとなったりしない。どちらかといえばのんびりした顔のまま飛ぶんだな。
そんなことを考えつつ、寺尾線21のとなりの北の台連絡線1をみていた。
そしたら、気付いた。
送電線、終わってる。どこにもつながってない。
近づいてみる。
碍子の近くをよく見てみる。
これは、裁縫でいう、玉止めではないか。
くるくるっと。
片方がぶつ切れだ。どう見ても電気は来てない。
この鉄塔はバランスをとるために引っ張っているだけなのではないか。
送電線というよりワイヤーだ。
こんな鉄塔もあるのだ。
北の台線は四角ドラキュラの変電所で送電は終わってたんだ。
だから、寺尾線20の送電線もつながっていなかったのだ!
寺尾線の途中まで、のつもりで歩き始めたが、意外にもきっちりと「終わり」を見せてもらった。