鉄塔ハイキング10 橋本線を逆走する

3日目その1 62から50

予報は雨のち晴れ。
6時過ぎても晴れないのでやめようかと思って新聞を見たら雨は9時までとなっていて、出かけることにした。
出発地点がどんどん遠くなるので、出る時と着いた時の天気が違っていることもあるわけだ。

というわけで、こどもの国線、恩田駅へ。

昔はこどもの国と長津田の2駅しかなかったが、
周囲が宅地開発されて、真ん中に恩田という駅ができた。
駅前には喫茶店が1軒あるだけだった。
犬と一緒に入れる店のようだった。
駅裏手の川沿いの道をいく。
スタート鉄塔に着く前に、順番から言うと次の鉄塔の前を通り過ぎる。
子の写真だと重なって見えにくい奥の鉄塔からスタート。

本日のスタート、橋本線62。
電線のカーブがいいよね。晴れてよかった。

右手は川、左手は東急の車両工場。
車輪がゴロゴロしてる。

3日目のベスト賞

いきなりですが、本日のベスト賞でました。
橋本線61-1。枝番なのもめずらしい。
この、碍子の十字が、気に入った。
電線は直角三角形の斜辺となって渡っていく。ここがまた良い。
しつこく2枚並べる。
カラスにも人気があるのか、やたらに鳴いていた。
(下)左のカラスは千鳥饅頭のロゴみたいになって写っていた。

外側はどうなっているか。
碍子3本使いという豪勢さ。これもいい。

ちょっと前まで全部「鉄塔」とひとくくりにしていた。
目には入っていても意識すらしてなかった。

また駅に戻って、今度は線路の反対側へ坂を上る。
車両工場が見渡せる。

61-1の曲がりぐあいもよくわかる。ほぼ直角。

坂の上の橋本線61。
これも負けじと曲げている。

さらに坂を上って、小さな神社を通り過ぎて、61の裏側にでた。
神社があるのは、耕作地帯だから。だいぶ少なくなっていはいるが、家と家の間にはまだ畑が広がっている。
高くなったところで、家が途切れて畑になった。これまでに通ってきた鉄塔がよく見えた。

上の画像の画面右下、作物の支柱の間に小さく鉄塔が集まっている。望遠でのぞいてみると、

ぎっしり。

住宅地は続く。この辺りは道が広く、住宅もひとつひとつ大きい。でも、気取った感じがしないのは、点在する畑のせいか。住んでる人がそうなのか。
その中の、橋本線60。キラーン。


さらに橋本線59。周りの家がゆったりしてるのが伝わるだろうか。車庫になってなくて、家の前に複数台停められるスペースが十分にあり、玄関は地続きでその奥にある。階段を使って有効面積を広げる必要がないくらい一軒の敷地が広い。古くに開発されたんだな。今なら、ぎちぎちに家を詰め込むだろう。

家ばかり見てないで鉄塔を見ると、60も59も左右非対称で、ごくゆるくカーブしている。鉄塔が住宅街をうねうねと縫って進んでいく。土地の条件に合わせてカーブのぐあいなど決めていく、送電職人みたいな方がいるんだろうか。

ちょっと寄り道


一転して畑に。

裏の山には橋本線のほかにも鉄塔が集まっている。
ちょっと寄り道する。

戸塚変電所からきた京浜線1-2号。2導体。

エンジンをかけっぱなしのトラクターの横を過ぎて坂を上っていくと、橋本線58。
そばの鳥小屋にはニワトリとウズラがいた。
左にいるのはさっきの京浜線。
鉄塔に近づくための下りの階段があるのは初めて見たかもしれない。

もっと山へ入っていく。

急に視界が開けて、並んでた。左が橋本線57。右は京浜線3-4号。戸塚変電所からきてる。
京浜線は赤白だが、橋本線57も頭のてっぺんだけ赤いのだ。

風の広場から東京都に入る

視界が開けたのはここが「風の広場」だから。
ほんとうに、下から風が吹いてくる。気温が上がって暑いくらいだったので、しばらく風に吹かれて涼んだ。風に吹かれる楽しみってあるんだな。
風の広場はこの辺りの自然を守り親しもうという目的をもった市民団体が管理をしているようだ。手書きの地図にちゃんと鉄塔が書いてあった。かわいい。

この尾根道はじつは神奈川県と東京都の境で、ここから東京都に入る。鉄塔ハイキング、東京初上陸。
東京都へと山道を下る。まともな遊歩道ではなかったようでだんだん狭くなって、最後は道がなくなり崖だった。まわりを探したら人が踏み固めたところがあり、それを伝って無事山を下りられた。
どうやらこのこんもりした林を下りてきたらしい。

立派なお庭の一部と化す、橋本線56。

これも左右非対称。同じようなカーブなのに片側のみ碍子。これも送電職人の技か。
坂を上ってきたので、さっきの広場と同じくらいの高さに再び戻った。
と、思ったら下るのはよくあること。下り坂の途中に、橋本線54。
55はなかった。

真ん中よりやや上にベランダのような部分があり、そこから昇降機のケーブルが縦に伸びている。そこまで行けば昇降機が使えるが、そこまではどうやって上るんだろう。

次はちょっと変わった形。なにかを載せている。そして分岐している。

初めてみる型

分岐しているのが何線か見てみようとしたら、あれれ。なにこれ。街路樹のイチョウの葉が落ちたところの真似でもしてるの。似てるけど。鉄骨を編み上げるのめんどくさくなったの。

プレートもない。初めて見た。
どうやら川を跨ぐ設置条件のためではないか、と思えてきた。

でもこれは艶かしいよ。服を着てないマネキンみたいだ。こんな角度で撮るほうも撮るほうだ。

非難してみたところでどうにもならないので、元に戻ろう。
元に戻るとは坂を上るということで、足元に行くにはさらに階段も上る。

この写真を撮ろうと立ち止まって構えた時だった。
足裏マッサージ機の強度「弱」くらいの感じで足の裏にどんどんとうねりが来た。
うねりは右から左に素早く流れていった。
すると階段の下に写っているカーブミラーや電柱が揺れだした。地震だった。
外ではっきりと、足の裏で地震を感じたのは初めてだった。
震動というよりうねりだ。地面の下になにかいる。そいつがぐねんぐねんと動いてる。
これは確かになまずと表現したくなる動きだ。

やっと足元にきて、載っけているものをよく見てみた。
これは、前回変電所で見たものだ。電線の途中につけて何するんだろう。名前なんていうんだろう。

さらに上って公園の中の橋本線52。てっぺんの番号を撮ってみた。

今度は急坂を下る。
途中で見たもの。

「車」を書いたあたりで、やべこのままじゃ全部入んないと気付き字を小さくしたものの「け」あたりでこれでもだめだとさらに小さくしたが、やっぱり入りきらず「ん」が芸術的に。

こういうの集めるジャンルもあるんだってね。標識。ま、この標識は別段めずらしいものではないと思うが。


さっきより大きい規模の公園の入り口に橋本線51。歩いたら気持ちよさそうな公園だったが、眺めただけで中には入らず先へ。近くの農家の美しいしだれ桜と橋本線51。

畑の中の、この小さな道、通っていいんだって。では。


次は橋本線にしては長めの間隔があく。川を渡ってまた坂を上る。
上がりきってから住宅を迂回してちょっと下ると、橋本線50。

ところで、今回はまだ高さ何メートル、がでてこない。このプレートが高いところにあっても読めるように倍率21倍の単眼鏡を買ったのだが、それで眺め回しても見つからないのだ。
21倍とはどれくらいかと大雑把に説明すると、肉眼で下の写真くらいにみえている鉄塔のてっぺんについている数字のプレートがはっきり読めるくらい。ああ、51か。というように。

地図からすると300メートルくらい離れている。

3日目その2 49から34

橋本線は最後が99だから、50はほぼ真ん中。
後半に入った。
橋本線49は小学校の横に。
足元には何かの機械が置いてあった。その周りは桜。

そばには団地。
こういうものを訪ねるジャンルもあるんだってね。給水塔。デカンタみたい。

この小学生は社会人みたい。


次は坂の上。画面奥に向かって上っていくが、鉄塔まで行くと右から左に下っている。いちばん高いところにいるのが橋本線48。送電線はゆるくカーブ。

ここで初めてプレートを見つけて、大喜びして単眼鏡で見た。
橋本線48、昭和57年、55メートル。地面が高い分鉄塔はそれほど高くない。
急坂を下りたら、また今度は急な階段を上る。ヒールを履いた女性が下りてきたが手すりをつかまないと下りられないようだった。このへんは高ヶ坂という。そう命名したくなる起伏だ。
下からのアングルにしたわけでもなく、まっすぐ立って撮ってもこのくらい迫ってくる。


中学校前の交差点に橋本線47。スーパー、民家、鉄塔。ごくふつうな感じで並んでいた。

小さめの平屋建て住宅の中に、古い蔵が残る農家もある。そこを抜けて次の赤白へ向かう。


回線番号を書いた板

分岐した橋本線46。分岐した先は小さな鉄塔で、頭の部分だけが林の中に垣間見えた。
この鉄塔は大きく、鉄柱が迫力だ。グラマーだ。色もきれい。塗り替えて間もないのかな。

送電線は3本一組で、一組を一回線というが、橋本線は4回線だ。回線ごとに1から4まで番号がついているらしくそれらがどういう位置に並んでいるかが下に数字を書いた札で示されている。鉄骨の場合はその札はビスで止めてあるが、この鉄塔では巻き付けてあった。下の画像は止めてあるもの。これが多い。


小田急線を越える。町田駅が近くなりマンションが増えてきた。橋本線45。鉄塔よりもその手前の電柱から出てる電線がすごい。束になってる。鉄塔には下のほうに棚みたいなものがついてる。

小田急を越えるまでは起伏が大きく坂ばかりだったのに、こちら側に来たら坂はない。道も入り組んでいなくて、まっすぐな道が直角に交差している。
東西も南北も遠くまで見通せる。

橋本線44は、三方をアパートに囲まれていた。スペースがなくて、フェンスと鉄塔の間にすき間がほとんどなかった。

ハンガーはまわりのアパートから飛んできたんだな。

さてここで問題です。足元から見上げてこれくらいの高さの場合、この鉄塔、橋本線43は何メートルでしょうか。

正解はこちら。

正解は58メートルでした。昭和56年8月、まで書いてあるんだ。
単眼鏡が必要ないくらい低いところにあった。小田急を越えてからの鉄塔はみんなこうだった。単眼鏡の出番がないじゃない。

鉄塔の向かいはこどものための施設で、SLがいた。昭和46年まで現役だったデゴイチ。

次の橋本線42は日本料理屋の隣に。43、42と連続でカーブなしのまっすぐ型。


そして次の橋本線41も。送電線をカーブさせない場合は、斜めになった碍子2個の先端で吊り下げているんだな。この鉄塔の足元のフェンスには洗濯バサミがいっぱい。鉄塔は洗濯物を干されやすい。わりとよく見る。

舟盛りを思い出させる鉄骨の組み方


区画整理された地域を離れて、畑の多い地域に入った。あいかわらず坂はない。
橋本線40は左右非対称。碍子をつなぐ鉄骨の枠からして非対称。舟盛りの器のようになっている。


橋本線39はまっすぐ。画面右は住宅だが、見えてない左は畑である。しかし徐々に宅地化しているようで、建設計画の看板が立っているところもあった。変身中のようだ。


橋本線38も非対称。舟盛り型。2つ前の橋本線40とは舟の向きが反対だ。


裏に回ってみると碍子がひとつ、ぴょこっと飛び出していた。いちばんはじめの橋本線99と同じだ。これは何なのかよく見てみると、左の糸巻きから出たワイヤーは飛び出し碍子の根元の鉄骨まで行って、支えている鉄骨をさらに伝って碍子につながっている。碍子の下から出たワイヤーはまっすぐ地面におりてきて、石で固定される。仕組みはわかったがこれが何を意味してるのかは、さっぱり。
そういうもんなんだ、と思っておく。



小田急を越えてからずっと平地だったのはここが台地だったからのようだ。橋本線37の向こうはどーんと谷になっていた。斜面に立っているので足の長さが極端に違う。
この橋本線37は送電線を渡す部分の鉄骨がちょっと違う。みんな同じ形ではなく、向きがばらばら。これは白石線についていった時みた、羽ばたき鉄塔に似ている。


次は谷の向こう。手前の小さいのは淵野辺線。間には川があり、渡るために橋まで遠回りする。まずは急な坂を下る。

次まで距離がある。途中みたもの。
今は水がないが貯水池と思われる草原にハトがたくさんいて、一心不乱に草のなにかをついばんでいた。人が入ってこない事を知っているのか、食べる事に集中していた。黒い点が全部ハト。

何を考えているのか想像もつかないカエル。

オタマジャクシだった頃の事をなんとかして思い出そうとでもしているのかのよう。

ふたたび神奈川県に入る

やっと橋を渡った。境川というが、神奈川県と東京都の境なのだ。再び神奈川県に入る。


また坂を上って、橋本線35。
36はなかった。また中抜けである。

しだれ桜はいい。

厚木が近いので、明らかに旅客機ではない飛行機が飛んでくる。

さて、これが本日のファイナル鉄塔。橋本線34。
コーヒーを飲んでひそかに打ち上げ。

次は古淵駅の向こう側からスタートだ。ゴールがみえてきた。

次ページへ。

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