4日目その1 33から11
坂だらけのよこはまから来ると、相模原というところは坂がなさすぎてこれは罠なんじゃないかとまで思ってしまいそうなくらいの平野ぶりだ。
目の前に鉄塔が見えているが山があるのでどこを通って近づくかを攻略するのが鉄塔ハイキングの定番だと思ったら、ここでは家と家の間にひょこっと立ってて丸見えだ。それがおもしろくて。
いいところだ、相模原。
古淵に着いた。
いい天気だから、鉄塔が映える。
駅からすぐに橋本線33。
相模原のマンホールのフタがかわいい。
横浜のは見慣れたが、市がかわるとおもしろいものがあるかもしれないと、鉄塔を仰ぎ見る合間には地面を見て歩いた。地面の下にはいろんな管が想像以上に走っている。雨水、汚水、ガス、電気、通信。これだけのものを作って維持してきた労力はほんとうにたいしたものだ。
整ったインフラを普通だと思いながら日々をすごせるのは、いまさらながら幸運だ。
次は一部の送電線が地面へ下りている。
地面のアルファベット
これに近づこうと歩いていたら、地面にアルファベットが落ちていた。それも反転したもの。
道路に灯りを埋め込んだ照明かと思った。でも、そういう演出をしそうな店などはない、ごくふつうの住宅街だ。
このマンションの名前を示した金属製のアルファベットが太陽を反射していたのだった。太陽の位置によっては日光が当たらないこともあるだろう。1年でも限られた時期の、1日でも限られた時間だけの、反転アルファベット。
違う角度から。
楽しい。
橋本線32の足元には変電施設のようなものがあった。柵のすき間にカメラのレンズだけ差し込んで撮ってみた。撮ってる本人の目の前には、鉄製の柵がある。
そばには麦の畑があった。土の色は黒い。もともとこのあたりは沼とか湿地だったんじゃないかな。地名に「淵」がついているところからしても。
急に広いところにでた。総合卸売市場。市場は休みで車も人もほとんどいなかった。市場の開いてる日はトラックがたくさん停まるだろう、広い駐車場には前夜の雨でできた水たまりができていて、そこに映っていた。
宇宙関係の施設のある都市が姉妹都市のような関係を結んでいて「銀河連邦」と名乗っている。あのはやぶさの帰還を見守ったのも相模原市である。このたび大船渡市にいちはやく支援を送ったのも「銀河連邦」の都市だった。
市場の裏側が見えるところに、橋本線31。きりっとしてる。
このあたりは別の系統がきていて、ひとつは大沼線。そして、てっぺんが黄色い鉄塔もきていた。てっぺんが黄色い鉄塔、なにかで見たなと考えるとどこかの大きな水力発電所の写真に写っていたのだった。御母衣ダムだったような…。黄色いと雰囲気がちがうなと思った記憶があるけど…。
佐久間東幹線と交差する
そんなことを考えつつ、畑の中の橋本線30へ。土の地面がふわふわしてる。
隣にいる赤白が、てっぺんが黄色い鉄塔につながっている系統。
まずは橋本線30。送電線と碍子がつながっている部分をよく見てみた。明るい日はこういう部分が見やすくていい。あの送電線は直径どのくらいなのだろう。
隣の赤白は橋本線の上を通すためにいったん送電線を高くして、反対側でがくんと下げている。これが何線なのかを望遠で見てみると、佐久間東幹線だった。電源開発の送電鉄塔を初めて見た。
佐久間ということは、これが天竜川とつながっているということ?ならばこれをたどっていけば必ずや水力発電所に着くのだな。430本ほど追跡しなければならないが。それはたいへんだから、反対方向の変電所までついていってみるか。いかにも天竜川から来ましたみたいな顔して。
(下)送電線注意のプレートに描いてある鉄塔の描写が細かい。碍子が描いてあり、送電線のカーブも実物みたいだ。
道は平坦だが、いろいろ発見があり起伏に富む旅程。
ひたすらまっすぐに進む
ここから先はほんとに平坦だった。道もまっすぐで、先の先の鉄塔が丸見え。電動アシストの自転車に乗ってる人なんかいなくて、ゆったり自転車をこいでいる。坂がないからそんなペースでも前へ進む。
畑と工場と住宅という組み合わせの街だった。工場、というと高い屋根に煙突に煙もくもく、という絵が浮かんでくるが、このへんの工場には煙突はなく、もちろん煙もでていない。ナントカ機械などと書いてあるので、組み立てが主なのかもしれない。
橋本線29。ビルのすき間に。
橋本線28の足元はベルトコンベアの工場だった。コンベアの素が巻かれていた。
反対側は一日の疲れを癒す場所だった。
まっすぐな道。どこでも2本以上見える鉄塔。
橋本線27。たんぽぽが咲いていた。
まっすぐな道。
橋本線26。足元には小さな工場。
鉄塔に向かって左300メートルくらいのところに宇宙科学研究所があることに、今地図を見返して気付いた。あったんだ、ここに。
橋本線25のプレートは道路に向いていない。なんかすねてるみたいだった。
橋本線24。てっぺん近くまで寄って見ると、カラスの巣がみえた。右の写真のやや下の真ん中あたりにある。ハンガーではなく、木の枝でできているように見える。
だいたい60メートルくらいの高さにあるから、20階くらいか。
空に綿菓子をちぎったようなぽわんとした雲が出ているのがうれしくて、鉄塔と一緒に撮った。ほんとに風や湿度などの気象条件だけでできたのだろうか?というような、いやにくっきりとしたまっすぐな筋雲が何本も出ているとき…そのあと揺れませんか…。気のせいかな…。
とにかく、この日はそんな雲がなく、みんなぽわんとしていて、春らしくてうれしかったのだ。
橋本線23と雲。
淵野辺の駅近くまで来た。ここにも「淵」が。
橋本線22はきれいな赤白。
ぽわん。
静かな住宅街に橋本線21。送電線はまっすぐ。
橋本線20は立派な門がある。
次の橋本線19はちょっと変わっていた。
ちょうど半分くらいの高さから下にワイヤーが何本も出ていた。
これに似ている。
実はこのワイヤーは網を鉄塔の周りに巡らすためのものらしい。送電線を地面に下ろすタイプに見た目は似ているが全然違うのだった。網に包まれた工事中の鉄塔をたまに見るが、その準備なのだろうか。
橋本線18は、送電線がまっすぐなのに片側にのみ碍子がついていた。こんな細かいことに気付いて自己満足したが、実はおなじように「送電線がカーブしてないのに片側のみ碍子」はすでに通り過ぎていたのだった。
書いてて気付いた。さて何番だったでしょう?
やけに横長なカーブミラー。
橋本線17の近くに、昭和のなごりがあった。街灯がいい。商店街の名前もいい。しかし、この街灯は電線に首をはさまれていて、ちょっと息苦しそうだ。駅で言うと矢部というところまで来た。
橋本線16。後ろに見えているのは通り過ぎてきた鉄塔。こんな感じで淡々と並んでいる。
ちょっと変化があった。相模原の駅前に出た。広い通りは桜並木になっている。アーケード街があって人も多い。そのアーケードの向こうに橋本線15。住宅より大きな建物と並んでいると小さく感じるが、62メートルあった。鉄塔は錆びていた。
次は14ではなくて、14-1だった。変電所だった。
駅前の桜並木を過ぎたらまた、住宅街のまっすぐな道に戻った。
橋本線14。ちょうどお昼で日が高く、影がくっきり。昇降機の影。
階段や坂がないだけではない。庚申塚もない。おそらく江戸時代はあまり集落がなかったんじゃないかな。湿地で畑もできなかったのでは、と推測。
橋本線13。今度は番号プレートの影。
家が途切れてちょっと広くなったところに、橋本線12。
振り返ると、今までに通り過ぎた鉄塔たちがぎっしり。
橋本線11はゆるくカーブ。
鉄塔周りの柵の扉を見よ。お客さんはここから柵の中に入れるそうだ。嘘だが。
さて、残すところ10本となった。
変電所に着いて、そこで発電所への鉄塔をはたして見つけることはできるか?
意外なことになってた。
4日目その2 10から1
99から始まった橋本線も10まできた。
では最後の10本をどうぞ。
橋本線10は久々の70メートル越え。
カラスがたくさん飛び交っていた。巣作りの時期なのかな。鉄塔は人気物件のようだ。
静かな住宅街を抜けると、ショッピングセンターやマンションが並びはじめ、にぎやかになってきた。
橋本線9は交差点に立つ。
太陽がまぶしい。もう初夏だ。半袖ださなきゃ。
トンカツ屋さんの駐車場に橋本線8。
鉄塔の足元が畑や花壇になっていることはよくあるが、灯籠がいたのは初めて見た。
橋本線7は左にゆるくカーブして、横浜線の線路から少し遠のく。線路と鉄塔の間は工場だ。内陸の工場は箱を連ねたような外観だ。ジオラマが作りやすそうな感じ。
橋本線6。
そして橋本線5。ぽんぽんと続いている。
右方向から違う系統がいくつか集まり始めた。変電所は近い。
橋本線5と4の間にはJR相模線があり、跨線橋まで迂回する。
跨線橋に向かう途中振り返って撮った。
跨線橋から横浜線の車両基地が見えた。2才くらいの男の子がお母さんと一緒に電車を見ていた。「ちた!ちた!」と叫んでいてかわいかった。
JR相模線を越えて、やっと橋本線4の足元に。JR相模線は計画停電のころ、5日くらい運休だったが、沿線の人々は本当によく耐えたと思う。1日まるごと運休を何日間も、というのはさぞかし大変だったことだろう。
それはともかく、橋本線4手前に立つ電柱の送電線の曲がりぐあいも目を引く。
橋本線3は工場の敷地内にあった。地面がきれいに舗装されていた。
クレーンという機械には三角形がかくれていることに気付いて、気になっている。
スポーツクラブの駐車場の中に橋本線2。ラス2。
錆が多く「風雪に耐えた」感じがでていた。
4日目のベスト賞
さて、本日のベスト賞でました。最後に。
橋本線1-1。
鉄柱タイプはあまり好きではないがこれは別だ。
複数の系統をつなぐ6回線。
太い足がどすんと降りてくる。
荒々しいペンキの筆致。この塗りかたは何を意図してるのだろう。
やたらごちゃごちゃした内部。
コンクリートの台座に載ってあたりを睥睨。うわー。
橋本線1はおそらくこれ。眺め回してみたが、その表記は確認できず。
後方で新しい鉄塔を建設中だった。電波塔のようだ。
2011年の橋本変電所
橋本変電所に到着した。
まわりは鉄塔だらけ。
送電線注意の横断幕がかけてあった。手作りな感じがいい。
ここから電気が送られていくのは、鶴川線、大野線、淵野辺線、南多摩線、川尻線、長沼線。すべて番号は1だった。
ではここへ電気を送ってくるのは?と思って周囲を歩くと、中途半端な古めかしい鉄塔があった。
八ツ沢線108。数が多いからどこかから電気を送ってきてるものだ。
でもなんか変なのは、送電線が変電所とはつながっているが、外の鉄塔とはつながっていないことだった。いちばん上の避雷の役目をする細い1本だけの線はつながっているようなので伝っていくと、次の鉄塔にも送電線はなかった。碍子が手持ち無沙汰。
気になるのでさらに次へ。
次はなんと碍子すらなくなっていた。
何も見ずに送電鉄塔書いてみてと言って書いてもらった絵みたい。一見、風呂屋の煙突のようでもある。
先ほど見た、建設中の鉄塔はこれらの代わりなのかもしれない。
八ツ沢線から電気がきていないのだ。
電気を送ってきているのは、都留線しかないようだ。橋本変電所で265番。都留といえば山梨県だ。
港北は津久井のあたりの発電所とつながってると思ったんだが意外なほど遠くから送電されていた。
おまけ
ヘコミが戻るから、モドーリー。ヘコんだ時はここに駆け込もう。